3 posts categorized "佐倉義民伝/権三と助十"

May 09, 2005

彦三郎

 五月国立劇場公演の初日まで、後二日。
前にも書いたように、「権三と助十」の僕の役は彦三郎という若者。
この彦三郎、なかなかできない。
いくら稽古しても、できない。感情を込めすぎると、硬くなってしまって、思い切り力抜いてやると、感情が伝わらないと言われる。力抜いても感情がしっかり伝わるように演じられるのが役者だと思う。でも、それがどうしてもできない。出ている時間はけして多くない。でも、彦三郎の訴えによって長屋の人々が行動を起こすのだから、とても大事な役なんだ。
 あと二日で開いてしまう。明日の稽古と明後日の舞台稽古を残すのみ。

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May 02, 2005

権三と助十

 世間はゴールデンウイーク真っ只中ですが、我々前進座は五月国立劇場公演の初日に向けて、稽古、稽古の毎日です。ゴールデンウイークにちゃんと休みが取れたのは、学生時代を除くと、一年間だけフリーターしてたときだけですね。もっともその頃はフリーターなんて言葉無かったけど。
桐朋学園大学を卒業して、すぐに生まれ育った前進座に入座してしまっては世間を知らな過ぎると思い、一年間アルバイトをして過ごした。その後前進座に入ったわけだけど、それ以来ゴールデンウイークの時期は必ず国立公演の稽古か、他の芝居で地方巡演に行ってた。でも、芝居に出ないで世間の人たちと同じように休みが欲しいとはちっとも思わなかったな。役者ですから芝居に出られるのはありがいたいことですよ。それにこの時期どっか遊びに行っても混んでるし。僕たちは平日にお休みが取れるので、空いた時期に温泉でも行くか・・・一人で。さびしい~(笑) いや、一人旅もいいかもねぇ、したことないしな・・・美味しいもの食べて、のんびり温泉に入って、ビール飲んだり、ぶらっと散歩したり・・・時間持て余しそう。バイクがあったらなぁ~、前は乗ってたんだよなぁ、カワサキの400.この頃猛烈にバイクが恋しい。

 さて、今日は国立公演のもう一つの演目、「権三と助十」のお話を。
江戸は神田の裏長屋。人殺しの罪を着せられたまま、獄中で病死した小間物屋彦兵衛の悪名を清めるために、同じ長屋の住人達が時の名奉行大岡越前に物申す!といったお話。口は悪いが善人ばかりの江戸っ子たちを、笑いたっぷりに生き生きと描いた、岡本綺堂の世話物の傑作です。僕がやらせていただくのは、彦兵衛の息子、彦三郎。父親が住んでいた長屋を訪ねて大坂から出てくる。そして、どうしても父が人を殺すなんて信じられない、これはきっと何かの間違い!なんとかして無実の罪とゆうことをお上へ申し立てたい、どうか力を貸して欲しいと、家主の六郎兵衛に涙ながらに懇願する。この彦三郎の熱意に打たれ、家主六郎兵衛、店子の権三と助十ら長屋の人々が立ち上がるとゆう展開。彦三郎の登場によって物語が動き、長屋の人々をその気にさせなければならないので、彦三郎に真実感がなければ、芝居にならないという重要な役。
 明日二回目の立ち稽古。こないだの荒立ちのときはまだまだ自然に動けなかったから、今後はちょっとした仕草で、大坂の商人という感じが出せたらいいなぁ。そう、彦兵衛一家は大坂生まれで、彦兵衛だけが江戸に出てきていて事件に巻き込まれた。で、息子の彦三郎が大坂から出てくるんだけど、そうなると彦三郎って当然大坂弁だと思うんだけど、現本も大坂弁では書かれていない。過去の公演でも特に大坂訛りにはしていなかった。
 やはり、柔らかい仕草や言葉遣いだけで大坂の商人にならないと。でも感情が昂るとどうしても硬くなってしまう。硬くならずに真実感もあって柔らかく・・・

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April 24, 2005

佐倉義民伝

 新緑の季節になった。この時期は前進座の役者はみんな東京に居る。毎年恒例の五月国立劇場公演の稽古の毎日。去年の五月は、僕は地人会公演「雁の寺」で四国と中国地方を巡演していたので、国立は二年ぶりの出演になる。今年の演目は、「佐倉義民伝」と「権三と助十」の二本立て。どちらも、再演を重ねてきた、前進座の財産演目といえるもの。義民伝は、悪政に苦しむ農民達を救うため、天下のご法度である将軍への直訴を決行し、処刑された木内宗五郎の物語。僕は確か六つの頃、宗五郎の子供の役をやったことがある。三人兄弟の真ん中。上に兄がいて、下にまだ赤ん坊の弟がいるという設定。宗五郎が直訴のためいよいよ江戸へ出向こうとする前夜、家族と最後の別れをするために帰ってくる。子供心にも、このまま父が去ってしまったら、もう二度と生きては会えないということを感じ取って、兄弟二人は「ととさま、行かないで」と泣き叫ぶ。兄のほうは出て行こうとする父を外まで追いかけて、すがりついては、振り払われ、またすがりつくという芝居。僕のやった弟のほうは、母と一緒に窓から顔を出して、「ととさま~、ととさま~」と叫び続ける。
 
 母親役は五世河原崎国太郎、僕の祖父。「おじいちゃんが、背中をポンと叩いたら、ととさま~、とお言いよ」と言われて、叩かれるまでは絶対言っちゃいけないんだと強く思った。あるとき、祖父の体が背中に触れたのを、叩かれたと勘違いして、全然早く叫んでしまった。大変な失敗をしてしまったんだと、子供ながら落ち込んだこともあった。でも、何回か公演を重ねるうちに、叩かれないでも、言うきっかけが分かるようになり、そのうちにだんだん、ととさま~と言うたびにほんとに悲しくなってきて、涙がこぼれるようになった。さらに舞台を重ねていくと、どう見ても、兄役のほうが目立っていい役だよなぁ、と思うようになった。なんだか悔しくて、僕にもあっちのほうやらせてよと、ずっと思ってた。

 その義民伝に今回大人になって初めて出演する。役所は打って変わって、権力側の役人石塚源之進。第二幕一場の「渡し小屋の場」に出てくるんだけど、出番はとっても短かくあっという間。でもこの場面の権力の象徴。大事な役だからきちんとやりたい。
 もう一本は「権三と助十」。十数年前に、国立劇場でやった作品で、僕は今回「彦三郎」という事件を運んでくる役どころ。続きは次回に書くことにしよう。

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5月12日(木)~24日(火)
前進座 五月国立劇場公演

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