臨場感
芝居は最初の掴みが大事だよな。「怒る富士」の場合はとくにそうなんだ。この芝居の幕開きは、村を捨て駆け落ちをしようという若い二人、佐太郎とつるが富士の裾野で落ち合う場面から始まる。その刹那、富士山は大噴火を起こすんだ。噴火による大地震、降り注ぐ火山灰。村人達は必死に逃げまどう。
もちろん、舞台が実際に揺れるわけはない。役者の演技と動き、照明と音響、音楽が一体となって、この噴火の場面を表現するんだ。
この臨場感をどれだけリアルに観客に伝えられるかが、この芝居の要だと思うよ。だって、この大事件から物語りは始まるんだから。一瞬たりとも気を抜けないね。油断してたら怪我もするしね。おれ、最初の揺れでごろごろ転がってるんだ。リアルに転びたい。でも怪我はしたくないから、身体暖めてから稽古に出てる。うそっぽくなったら、お客さんの気持ち掴めないもんね。










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