顔に傷もつ役者
「新門辰五郎」の立ち廻り稽古のときに、怪我をしてしまった。と、言っても大怪我ではない。
後輩がおれの足を棒で払うのを、おれが飛び上がって避けるという殺陣なのだけど、棒を持ち替えるときに、はずみで棒がおれのおでこを直撃した。かなり痛かったので、これはこぶになるかなと思ったら、次の瞬間血が垂れてきた。すぐに病院に行ったら、幸い浅い切り傷だったので、縫うほどのことはなかったのだけど、縦に2センチほど切ってしまったので、痕は残るかもしれないと言われた。
顔に傷をつけたのは初めてじゃない。小学校六年の時に友達と喧嘩して、右の眉毛の上を縦笛でぶたれたときも、切れて血が流れた。そのときの傷は今はほとんど分からなくなってきたけど、新たにまた傷を作ってしまったな。
役者だから顔に傷を作るのはとっても嫌だ。でも、やってしまったことはもう戻らない。相手の後輩もひどく落ち込んでしまっていたので、「こういうことはよくあることだ、気にするな」と言ってやった。もう二度とこういう失敗がないようにすればいいんだ。いい教訓になったよ。新門辰五郎は、派手な立ち廻りが一つの見所になっているので、立ち廻り稽古にはみんな熱が入っている。でも、力を入れすぎず冷静さを持ちながら稽古して、迫力のあるものに仕上げていくことが大事だ。



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