女殺油地獄
「女殺油地獄」は北海道札幌での三日間の公演を終えて、今日は滝川市で夜公演。仕込が一段落したので楽屋でダイアリーしてる。16日まで続く、北海道各地を回る旅の四日目。
北海道、やっぱ好きだなぁ。風が爽やかで気持ちいい。ホテルから会館までけして近くはなかったけど、三日間散歩気分で通った。食べ物もうまい!ジンギスカン、みそラーメン、カニ、魚、札幌ではいろんなもの食べて、ほんと大満足。これから行く街でも美味いもん食うぞ!
油地獄の河内屋与兵衛は僕の父、六代目嵐芳三郎の当たり役だった。それを劇団が僕にやらせてみようと、新たに作ったのが1999年の3月。父が亡くなって三年後のことだった。初めてやったときはほんとに苦労して、父が生きていたら稽古を見てもらえるのにと何度も思った。まったくできなくて、やはり与兵衛なんて自分には過ぎた役なんだと感じた。でも、もういない父を頼ってもしょうがないし、せっかく劇団が僕を与兵衛に抜擢してくれたのだから、今の自分の力でなんとか創りあげよう、結果、ぼろくそに言われてもいい!と開き直って舞台にたった。もう無我夢中だった。
与兵衛という役にはいろんな解釈があって、上方和事の味が必要とか、それとは逆に和事味を捨ててもっと不良少年にならなければいけないとか、人によって意見が様々。僕もいろんな役者の油地獄を観たけど、それぞれ全然違う役作りだなぁ、と思った。
僕が目指している与兵衛は、目に焼きついている父の与兵衛。上方の二枚目らしい柔らか味が充分にあるのだけど、それが柔らか過ぎず、自分勝手に生きてきた与兵衛が、お吉という女性を殺すまでに至る過程がはっきりと伝わって、終幕に捕らえられ泣き笑いで花道を入っていった父の与兵衛。少しでも近づきたい。
今回も、前進座劇場でやった舞台稽古で、劇団の先輩達からいろんな意見をもらった。前より良くなったところもあれば、まだまだできてないところもあると・・・そうだと思う。父のような柔らか味を出すことが、僕には一番難しい。ただ、いつも厳しい母が電話で「お父さんに似てきたよ」と言ってくれた。嬉しかった。それを励みに北海道に来た。
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