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April 15, 2005

準備期間

 「息子」「玄朴と長英」の公演が終わってもう一週間。来週には五月国立劇場公演の稽古が始まる。今は稽古入りまでの準備期間。頭の中のハードディスクにある金次郎というファイルを削除して、次の芝居に集中できる容量を作らなければ。と言っても、パソコンのようにセリフからなにからきれいさっぱり削除できるはずもない。
 二月にやった「お登勢」の睦太郎にしても、子午線の祀りの義経にしても、セリフを全部言えと言われれば今でもすらすら出てくるし、雁の寺の慈念だって、藪原検校の杉の市だって、簡単に消せないくらい頭に刻み込まれている。それどころか、もう十年近くやっていない「さぶ」のさぶだって、細かく全部は無理だけど、大事なセリフは浮かんでくる。もっとも「さぶ」は三百回以上やらせてもらったから、僕にとっては、特に思い出深い作品の一つだけど。そう、「さぶ」の演出家は「玄朴と長英」演出の十島英明さん。役者になりたての僕に、役者としての道を開いてくれた人。入座したばかりの僕をさぶ役に大抜擢してくれて、辛抱強く指導してくれた。「怒る富士」の佐太郎や「わたくしです物語」の忠平考之助、最近では「天平の甍」の栄叡。まだまだあるけど、僕は十島さん演出の芝居によって多くのことを学んだ。
 4月公演の打ち上げのとき、ほんとに久しぶりに十島さんとお酒を飲んだ。十島さん、高野長英について熱く熱く語ってらした。お変わりにならないなぁ、と嬉しかった。

話を戻すと、次の芝居が始まる時は、全てを忘れることは無理でも前の役を引きずりたくない。
こんなことがあった・・「雁の寺」の慈念が終わったばかりの頃、清元「鞍馬獅子」の喜三太を踊りの師匠に稽古して頂いている時のこと・・・「あんた顔が暗いわよ、背中も丸い!もっと晴れやかに踊りなさい!!」と怒られた。慈念は笑顔などまったく見せない陰気な少年。慈念を完全に引きずってたと思う。ちなみに喜三太の写真はホームページのインフォーメーションに使われています。
書いていて思い出したけど、「怒る富士」の佐太郎をやったときも、初めの頃は「なんか、さぶみたい」と言われたことがあった。
だから、「息子」の金次郎のことはもうぜ~んぶ忘れた、もうな~んも思い出したくないと、自分に言い聞かせてる。

ただし、「息子」の台本に自分なりの感想はしっかり書いておいた。もし再演があるならそのときの為に必要だから。これまでこのページで「息子」の稽古中のことをいろいろ書いたから、終わった後の僕自身の感想も聞きたい方がいらっしゃることと思いますが、ここでは控えます。自分だけの日記ではなく、なんといってもインターネットで流れてるものですから。一つだけ言えるのは、稽古では気付かなかったことが、初日を開けてから分かったこともあった。それを再演に生かしたい。
さあ!次は五月だ。「佐倉義民伝」と「権三と助十」。義民伝には思い出がある。それはまた次回に。

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